SSブログ

東大・多比良教授・川崎広明助手ねつ造疑惑その後 [ニュースから]

他研究施設にて実験の再現性が取れない。
と言う事で、論文の信憑性が疑われ、調査をした所、
実験ノートが無く、生データが無い事が発覚し、
調査委員会から、年度末までに、データの再現性を求められていたこの件ですが、
本当に残念な事に、再現性を実証出来なかったようです。
結果。論文4本は取り下げになったようです。

メイの部屋でも、発覚時に
・実験ノートと生データの問題。
・先端研究チームの過酷な労働。
・他者が再現性を取れない技術もある。
と言う点を<ココ>に書きましたが、
ご本人が再現出来なかったと言うのであれば、
今回の措置は適当であったと思います。

ご本人ではないので、本当に起こった出来事がどうなのかはやはりわからない。
(つまり、ねつ造があったのか無かったのか)
でも、もし、ねつ造であったなら許せいない事です。
なぜなら、研究を展開していく他の研究員の貴重な時間を奪う事になるからです。
その論文を読み、間違ったデータを元に研究を展開するわけですから。
その結果、一般に還元出来る結果を出す事が遅れますし、
国内で言えば、税金を無駄に使う事にもなります。

勿論、間違った結論の論文が無いわけではありません。
先端であればあるだけ、間違った結論になる可能性は大きくなるかも知れません。
判らなかった、又は確定出来なかった事柄を証明しようとするのですから、
正しい答えが用意されているわけではありません。

しかし、意図的に行うのであれば、
研究者としては最低です。
と、言うより、意図的に行うのであれば、研究員ではありません。

研究者は、データに謙虚で忠実であるべきです。
それが出来ない者であれば、いかに頭が良かろうが、
いかに政治力(意外と必要だったりします)があろうが、
研究員を辞すべきです。

確かに、実験を行うにあたり、自分の予想しているデータというモノが存在するでしょう。
闇雲実験計画を立てるわけではないのですから。

しかし、結果として求められたデータが、予想から外れていても、<外れている>という結果が出ているのです。

何故そのデータは<外れたデータ>だったのか。
実験の方法は正しかったのか。
解析方法は正しかったのか。
上記のいずれか(又は両方)が正しくなかった事で外れたのか。
予想と違う事で、隠されていた真実の一端を掴めたのか。
(つまり真実は予想と違うモノであった場合)

捨てデータ(予想から外れたデータ)だと思っていたデータが、
実は重要なデータだった。
と言う事だってあり得るのです。

今回の論文を執筆された方がどうであったのかは判りません。
期限が短かった為、焦ってしまって、落ち着いた実験が出来なかった為に、
再現性を求められなかったのかも知れません。
しかし、このような結果になって、本当に残念でした。

ながーくなりますが、
ニュース記事を下に貼り付けておきます。

メイのお薦め本。
論文を初めて書く人を対象にした本ですが、
何故論文を書かねばならないのか?
読者を獲得出来る論文を書く為には何が必要なのか?
を教えて(思い出させて)くれます。

これから論文を書く若者のために

これから論文を書く若者のために

  • 作者: 酒井 聡樹
  • 出版社/メーカー: 共立出版
  • 発売日: 2002/05
  • メディア: 単行本





多比良教授らの論文、調査委「再現性、信頼性ない」
2006年 3月30日 (木) 13:04
asahi.com
 遺伝子制御にかかわるリボ核酸(RNA)の専門家、多比良和誠教授らの論文疑惑について、東京大学大学院工学系研究科の調査委員会(委員長・松本洋一郎教授)が30日最終報告を発表し、詳しく調べた4論文について「再現性、信頼性はない」と判断した。客観的データを管理保存して論文の正しさを説明する責任を、多比良教授や実験を担当した川崎広明助手が果たさなかったとした。

 松本委員長は「極めて捏造(ねつぞう)したと言えるに近い状態にあるが、断言するのは難しい」と話した。

 報告によると、04年の英科学誌ネイチャーに発表した実験データの作成に使ったとされる解析プログラムは、当時の多比良研究室になかったことが判明した。データを作った川崎助手は、会社から試供プログラムをもらって個人的に使用したと主張したが、調査委員会が会社に問い合わせたところ、その主張を裏付けることができなかった。生データとして調査委に提出された印字データは捏造されたと判断した。

 別の論文については、RNA制御にかかわるたんぱく質の遺伝子をつくる方法の説明を要請したが、川崎助手が示した方法では目的の遺伝子をつくれないと判定した。

 川崎助手はこの日、朝日新聞記者の取材に対し、「確かに実験ノートがなく、信頼性に欠ける部分はあったが、だからといって全く信頼性がないわけではない。論文の再現性についてはもう少し時間がかかる」と話した。

 調査委員会は昨年4月、日本RNA学会が多比良教授らの12論文の信頼性に対する調査を東大に要請して設置された。系統だった実験記録がなかったため、同委員会は4論文の再実験を要請。提出された結果に対し、委員会は1月、「実験結果の再現には至っていない」としたが、多比良教授らは単なるミスと主張し、調査が続いていた。

 処分については、責任を調べる委員会が設置されて検討が続いている。

 多比良教授は「研究管理が不十分だった責任を痛感している。各論文に関する川崎助手の捏造の有無につき、完全な検証には至っていないが、実験に対する誠実性には疑義を持たざるを得ない」とコメントを発表した。

極めて捏造に近いと報告 論文疑惑で東大調査委
2006年 3月30日 (木) 14:13
共同通信
 東大大学院工学系研究科の多比良和誠教授(生命化学工学)の論文疑惑を調べていた東大調査委員会(委員長・松本洋一郎教授)は30日、「論文に関して再現性、信頼性はない」との最終報告を発表した。
会見した松本委員長は「極めて捏造(ねつぞう)に近いと判断した」と説明。この報告を受け東大は、多比良教授らの懲戒処分などの責任問題について、さらに検討する。
多比良教授は30日、東大を通じてコメントを発表。捏造の有無については「検証に至っていない」と主張する一方、「論文を執筆した川崎広明助手が再現性実験で成果を得られず、実験に対する誠実性に疑義を持たざるを得ない」とした。
調査委員会によると、多比良教授側に再実験を指示した4本の論文のうち、1本について、実験の生データとして提出されたものが、実験当時に存在しないソフトウエアで解析されていたことが判明した。

多比良・東大教授、論文4本を取り下げ
2006年03月29日21時56分
asahi.com
 東京大学大学院工学系研究科の多比良和誠(たいら・かずなり)教授らの論文をめぐる問題で29日、多比良教授は4本の論文の取り下げを決め論文掲載誌に連絡したと発表した。取り下げは実験記録がないという研究倫理上の理由からで、データの捏造(ねつぞう)などを認めるものではないという。論文の実験を行った川崎広明助手は、取り下げに同意していない。

産総研、東大教授の処分せず 論文捏造疑惑
2006年 3月31日 (金) 22:43
asahi.com
 東京大学大学院工学系研究科の多比良和誠(たいら・かずなり)教授らの論文に捏造(ねつぞう)の疑いがある問題で、多比良教授が兼務する産業技術総合研究所は31日、「懲戒処分に当たらない」と発表した。研究指導者として倫理的な責任はあることなどから、新年度の雇用契約はしないと決めた。

 産総研は独自の調査で「捏造があったことは否定できない」という結論を出していた。昨年、産総研職員は公務員から非公務員になったが、常勤職員は国家公務員法の適用を引き継ぎ、過去の行為も現在の規則で処分の対象になる。だが、契約職員である多比良教授には適用されず、処分の対象にならないとした。

 仮に就業規則をあてはめたとしても、「生データに基づく議論をしていなかった」ことは懲戒に当たらないと判断した。

 実験した川崎広明・東大助手は、産総研の外来研究員だったが、31日で登録を終了する。

 

産総研が研究センター廃止 多比良教授の論文疑惑で
2006年 3月31日 (金) 18:54
共同通信
 生命科学に関する論文捏造(ねつぞう)疑惑が持たれている多比良和誠・東京大教授が、ジーンファンクション研究センター長を兼任する産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は31日、同研究センターを廃止し、多比良教授と4月から新たな雇用契約を結ばないと発表した。
実験を担当した東大助手の川崎広明協力研究員についても、研究員としての招聘(しょうへい)を同日で終了。産総研はこの問題で、外部資金の調達が難しくなったり、職員が動揺したりするなど運営に支障が出ているとして、今後3カ月以内をめどに研究センターを廃止し、新しい研究体制をつくる。
多比良教授らの論文をめぐっては、産総研が3月3日、不正が行われたことを否定できないとの調査結果を公表し、多比良教授に論文の取り下げを勧告。教授側は、英科学誌ネイチャーなどに掲載された4論文の取り下げを連絡した。

 

論文取り下げ、産総研が勧告 東大大学院教授捏造疑惑
2006年3月4日(土)01:07
asahi.com
 東京大学大学院工学系研究科の多比良和誠教授らの論文に捏造(ねつぞう)疑惑がある問題で、多比良教授が兼務する産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は、独自調査の結果、不正の疑いは否定できず、論文の取り下げを勧告したと3日、発表した。

 産総研は、論文にかかわる特許の取り下げも検討する。多比良教授がセンター長を務めるジーンファンクション研究センターのあり方などを議論する検討委員会を設置、その結論が出るまでセンター長の職務をはずす。

 産総研の調査委員会は、疑惑が指摘された12論文のうち、産総研にかかわる10本について調査、1本は不正がなかったとした。残り9本については、系統的な記録がなく、「捏造に限りなく近い」(曽良達生理事)と判断。実験を行ったのは川崎広明・東大助手で、多比良教授は実験をしていないが、監督責任があるとした。

 川崎助手は捏造を否定している。多比良教授は、「論文の結果が否定されたわけではないが、倫理的な観点から勧告について検討したい」としている。

 川崎助手に00年に1700万円の研究費を助成した新エネルギー・産業技術総合開発機構も、論文に不正の疑いがでてきたことから、適切に研究がなされたか、研究費の管理も含めて独自の調査を進めている。


nice!(8)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 8

コメント 10

どうしてこういうことするんだろうね?
前にも遺跡の捏造をした人がいたよね。
たぶん、発表しちゃった後、ガクブルだったんだろうけれど・・・。
by (2006-04-07 20:50) 

呆れちゃうね…
この先生に師事していた方々が可哀想…。
確かに貴重な時間が
間違った方向に費やされるもんね…。

その本、興味津々~♪(*^ー^*)
by (2006-04-08 08:50) 

nicolas

センセイと一旦呼ばれる生活をすると・・・
なにやらアヤシイプライドが生まれるんでしょうか?

何のために医者になったのか・・原点回帰を命令しましょう。
by nicolas (2006-04-09 19:53) 

かえる妻

小さなウソを1つつくと、それを隠す大きなウソを1つつく・・・
どんどんウソは大きく、増えて行く・・・
悲しいですね・・・真面目に研究している人達が。
by かえる妻 (2006-04-10 15:01) 

時間もお金も無駄にしてしまうのに・・・。
変なプライドが生まれちゃうんですかね(-_-;
by (2006-04-10 17:52) 

メイ

ジャスミンさま:
どうしちゃったんだろうなぁ・・・。
きっと、故意では無かったと思いたいですが。
執筆者ご本人は論文の取り下げを拒否されていたらしいので、
そのデータは一度は出たのかも知れないですよね。
もしそうであれば、何故、PCのバックアップを取らなかったのか?
生データが残ってなかったことが悔やまれますね。
コメント&nice!ありがとうございました♪

ひかりこさま:
この業界の研究員の勝負できる年齢って結構短いんですよ。
実は。
ほんの一握りの天才は別かも知れませんが。
この騒動に巻き込まれた研究員の、この先支障が出ないことを祈ります。
この本、一読の価値はあると思います。
例題でちょっと「うむぅぅぅ・・・」と思わないでもないですが、
分野違いのヒトでも、文系であれ理系であれ、論文を著すのであれば、
一読の価値ありです。
しかし、その分野内での暗黙のルールのようなモノがあったりしますから、
研究室の「信頼出来る」ヒトに、良く相談すると良いと思いますヨ。
コメント&nice!ありがとうございました♪
by メイ (2006-04-10 20:27) 

メイ

あきつさま:
nice!ありがとうございました♪
by メイ (2006-04-10 20:35) 

メイ

にこちゃんさま:
むむぅぅぅぅ。
本当に、酷い教授っていっぱい居ます。
それでも、
・たとえ自分が研究員としての閃きがカケラもなくても、すばらしい研究員を育成できる能力がある。
・資金の調達が得意で、才能のある助教授が居る。
のであれば良いと思いますが・・・。
この人はお医者さんじゃないと思います。
所属や、研究内容から考えると、理学博士か、又は農学博士のどちらかと予想。
でも、原点回帰は、本当にして欲しいですよね!!
コメント&nice!ありがとうございました♪


かえる妻さま:
自覚のある研究員のほぼ全員は、みんなデータに謙虚で誠実である重みをよーく判っています。
基本中の基本なのです。
この結果は、研究員全体が、ガッカリしたと思います。
コメント&nice!ありがとうございました♪

たろうさま:
正直、研究員の皆様の中には、変なプライドが高いヒトはかなりの確率で居ます。通常ストレートで28まで大学生です。
バイトも家庭教師や塾の講師が多いようです。
大学を出れば、もう博士です。
変わったプライドを育てやすい土壌ではあります。
そういう中から、踏み外してしまうヒトも中にはいるのでしょう。
でも、しっかりしている研究員も又多いのです。
希望はあります。
コメント&nice!ありがとうございました♪
by メイ (2006-04-10 20:58) 

smottty

大学教授って世間に出ていない人がほとんどなんですよね。
学生から助手→助教授→教授という純粋培養されてしまう訳ですから、
世の中の道理が通らないこともよくあります。
先生と呼ばれる人はそういう人の割合が多いです。
by smottty (2006-04-20 14:30) 

メイ

smotttyさま:
そうなんですよ!
かなりの割合で純粋培養です。
勿論その世間ずれしないところが良い場合もありますが、
悪い場合も又多いと・・・(号泣)
コメント&nice!ありがとうございました♪
by メイ (2006-04-20 23:17) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。